「和温療法」を考案された循環器内科の鄭(てい)忠和先生によると、「低温のサウナで優しく体を温めることによって全身の毛細血管が拡張して、血流が改善される」ことで心不全の症状が改善するそうです。
心不全患者の弱った心臓では入浴をすることが出来ません。水圧によって心臓にかなりの負荷がかかるためです。30年前、そんな状況を目の当たりにした鄭先生は長年にわたり試行錯誤を重ね、心不全患者でも負担が少なく全身の血流を改善できる「和温療法」の開発に成功。これにより心不全に伴う様々な症状が改善しました。
「和温療法」とよばれる低温サウナ治療は、60度に設定された個室サウナに2週間、毎日15分入りその後に30分間の安静保温(タオルやバスロープを使って)。最後に発汗に見合う水分補給。これだけです。(くれぐれもこれは病院内での治療ですので心不全の方はお気を付けください。)
2020年に保険適用となり、大学病院を中心に導入が広がっています。現在は心不全だけでなく、閉塞性動脈硬化症や認知症などへの効果についても研究が進められています。
一方、通常の高温サウナでも健康効果の解明が進んでいて、フィンランドの男性2300人を対象に行われた調査では、サウナに週4回以上入る人は週1回の人より、認知症のリスクが66%低いことが分かりました。認知症の原因のひとつである「脳血流の低下」がサウナ習慣によって予防されていると考えていいでしょう。